佐治愛子
小学生から看護師に一直線
看護師には小学四年生からずっと憧れていました。看護師は医師とは違い、患者さんの24時間に付き添って、医師との懸け橋になれる存在。テレビドラマなどで患者さんにとても優しく寄り添いながら、その他の場面ではきびきびと動く姿を見て「かっこいいな」と感じたのが、この仕事に憧れた理由です。
看護師資格を得てから、はじめは助産師になろうと思い産科で働いていたのですが、産科は分野が狭く、看護師になったからにはもっと幅広く一般的な疾患の患者さんを看られるようになりたいと思うようになり、助産師を目指すのはやめて当院に転職し、看護師として働いています。
その人らしい最期の時を
看護師は亡くなる人を見送ることも多い仕事ですが、私は日頃から「亡くなるときは苦しまずに」ということを大切にしています。これまで呼吸器を付けたり、延命処置を最後まで続けたけど助からなかった人をたくさん見てきましたが、そんな経験から、できるだけ楽な形で最期を迎えられたらいいなと考えています。そうであればご家族の心の痛みを減らすことができ、その人の最期を受け入れることができるのではないかと思うのです。
また、終末期を迎えられても医療的にさまざまな規制を強いられることがあります。看護師はそれを守ることを優先するのか、その人の最後の願いを叶えるよう援助することを優先するのかということを考えなければいけないと思っています。
以前、ご自身の病気を受け入れていて、病院で看取る方向も決まっている患者さんが、一度帰宅したいと言われました。この時期を逃すと家に帰られないというタイミングでしたが、医師に相談すると難しいだろうと・・・。でもご家族も患者さんもどうしても行きたいとおっしゃっていたので、医師に掛け合い、最後の願いを叶えることになったのです。患者さんはその後病状が悪化して亡くなられたのですが、今しかないというタイミングでご家族から要望があり、私たちも希望に添えたことはとても印象に残っています。医療はどちらかというと禁止を強いることが多いですが、その人らしい最期の時間の使い方に介入していけたらいいなと思います。
医師との懸け橋になれる看護師に
患者さんは寂しくて話したい方も多いのに、私のほうは忙しくてバタバタしがち。けれども、いくら忙しくても声をかけやすい優しい看護師でいたいと思います。しかし看護師はただ優しいだけではダメで、時には厳しく理解を求める部分も必要だと思っています。患者さんの中には、疾患のことをしっかり理解している人ばかりではなく、自覚症状が取れたら治療をやめようとする人もおり、そんな時はピシッと「また同じことを繰り返しますよ」と伝えるようにしています。治療するからには良くなって欲しいので「これは今はだめです」「病気が良くなりませんよ」というように声をかけます。
また、患者さんのリアルな情報を医師に伝えることや、看護師が判断できるところは判断し、常に患者さんにベストな対応ができるように心がけています。たとえば点滴が気になって眠れない人がいれば、外せる状況なのかをアセスメントし、医師や患者さんも交えて一緒に考えてどうするかを決めていくようにしています。
また、基本的なことですが、挨拶をしっかりして、できるだけ笑顔で話すことも心がけています。患者さんを尊重し丁寧に接し、患者さんが話しやすい、医師との懸け橋になれる看護師でいたいと思います。