今井直美
手に職をつけて自立したいと思ったから
人の役に立つ仕事がしたい、資格を持って自立して働きたいと考え看護師になりました。
看護師は小さいときからの憧れの職業の一つではありましたが、真剣に将来の職業として考えたのは中学生、高校生のときです。衛生科のある高校に進学しようと考えましたが、先生の勧めで高校はいったん普通科へ進みました。
高校の時、急に父親が亡くなりました。母は結婚後、仕事を辞めて専業主婦をしていたので、子育てのため急に仕事を探さないといけなくなりました。手に職をつけていた方が自立して生活していける強みがあるなと感じましたし、父のような急な病気の患者さんへの看護をしてみたい、その家族にも関わってみたいと感じて、急性期の看護に興味を持ち、専門学校に進学して看護師になりました。
家族にも心配りできる看護師に
看護学校を卒業して12年、ずっとこの京都南病院に勤めています。マヒがあって自分では動けない状態で入院してきた患者さんが、リハビリを経て、自分で動けるようになって退院されていきます。その後元気に外来に来て「B’zのライブ行ってきたよ!」「久しぶりに顔見られてうれしいわ!」などと楽しく語ってくださる時は、逆にこちらが元気をもらえる時間です。「(退院して)○年たったんよ!」「リハビリ頑張って来とるんよ」など、他にもたくさんのリハビリに通っている方が覚えて声をかけてくださって、元気な姿を見せてもらえるのがすごく嬉しいです。
病院での仕事は時間に追われると業務中心になりがちですが、できるだけ相手の立場で関われる看護師であろうと心がけています。患者さんが自分だったら、自分の家族だったらと考えながら日々のケアをしています。外来や救急では、ご家族は患者さんの状況がわからないまま、ずっと待合室で待つことになります。処置の最中はそちらを優先しますが、時間ができたらご家族に「今こういった状況なんです」「今検査中だから待ってくださいね」と伝えるよう心がけています。救急はどうしても慌ただしくなりますが、私が父親の時に感じたような、急な事態での気の動転や、状況がわからないことに対する不安を、少しでも取り除けるようにと考えています。
退院後につながる看護を
ふと振り返って、もう少し接し方を考えたらよかったな、と思うこともあります。患者さんの依頼に対して「ちょっと待ってくださいね」と対応することも多いのですが、患者さんは「ちょっと、といって待たせる」とおっしゃる人もいます。自分はたくさん業務をやっているので、ほんの少ししか待たせていないつもりでも、待っている人からしたら長いのだと思います。何を優先しなくてはいけないのか、患者さんの体の状態やリハビリ・検査の予定を考えて、周りの看護師とも相談しながら判断しています。
また、これからは特に、患者さんが病院に戻らず、家でしっかり生活が送れるように、病院から出た後につながるような関わりかたをしていきたいと思っています。患者さんがリハビリして動けるようになってくると、病棟内でも動く量が増えます。動き始めはこけるリスクが大きいので、こけないように見守りをしたり、自分で動くときの付き添いをしたり……ご自身でできることが増えてきたら、少しずつこちらのお手伝いを控え目にして、退院したら自分でしないといけないことを院内でもしてもらうようにします。
患者さんに声かけをして、頑張っているのを応援したり、できるようになったことを「すごいね!」と一緒に喜んだりして、回復をお手伝いしながら、退院後の生活を意識した看護を心がけていきたいと思います。