吉田直子
継続看護が出来る環境
私が働いている京都南病院の良さといったら、徹底して地域の患者さんをサポートできる体制を整えていることだと思います。京都南病院の近くには2年前に急 性期医療を担う新京都南病院が建てられました。新京都南病院で急性期の患者さんを受け入れて、少し状態が安定した患者さんは京都南病院に転院し、ご自宅に 帰るまでの準備を行います。治療も一通り終わり、自宅に帰れる状態になっても患者さんにまだ治療が必要とされる場合、また入院後の健康チェックを含めたサ ポートをする必要がある場合、そうしたときに私たち訪問看護師がご自宅に訪問して、退院後のサポートをさせていただきます。
そうした「入院から退院までの手厚いサポート」、これが京都南病院のいいところで、看護師も継続的に患者さんを看られることでやりがいにもつながります。
訪問させていただいた際、自宅に来る看護師が入院していた京都南病院の看護師だと安心してくださる方も多くいらっしゃいます。
利用者の方との「信頼関係」を第一に
訪問看護師にとって重要なことはやはり利用者の方との信頼関係でしょうか。
利用者の方と接していて感じるのは私たち看護師の言葉の「重み」ですね。というのも、入院しているとき、患者さんはさまざまな人や看護師と接することがで きます。患者さん自身、わからないことがあれば、そうした周りの人に尋ねて、疑問・不安を解消することができるのですが、訪問看護となると利用者の方は毎 週同じ看護師と接することになります。そうすると、どうしてもその看護師の発言が利用者の判断の大きな指針になるんです。
以前、私は利用者の方から、私が伝えた言葉に違和感を持っておられた事を、随分経ってから告げられてことがありました。私にとっては何気ない一言でしたが、患者さんにとっては大きな一言になっていたようでした。
その時に「あっ、私の一言が利用者の方の考えをこんなに左右してしまうんだなあ。」と気づきました。それ以来、自分が言う言葉には気を付けるようになりま したし、またお互いに自分の思ったことを伝え合える「信頼関係」を、出来るだけ早く築けるよう接しようと思うようになったのです。
ご自宅で療養できるようサポートしたい
現在、病院では患者さんが入院できる日数は短縮しています。しかし、いくら退院できる状態になったからといって、すぐにご自宅に帰るのは患者さんにとって 不安です。そこで、退院すると病院との関係が終わるわけではなく、訪問看護などのサポートがあることを患者さんに伝え、ご本人とご家族の不安を軽減できる よう一緒に退院のお手伝いをする、これも私たち訪問看護師の仕事の一つなんです。
確かに、患者さんにはさまざまな事情があり、その段取りがスムーズにいくわけではありません。しかし「家に帰りたい」といっておられる患者さんを一人でも多くご自宅に帰っていただけるようにと私たちは日々奮闘しています。
これからも病棟の看護師と今以上に連携をとりながら継続的な看護を提供し、療養中のご自宅で意義ある時間が過ごせるようにサポートしていきたいと思います。